幸せな結婚をするという最高の親孝行
私にも娘がいるので
幸せな結婚をしてくれたら
これほど嬉しいことはないなぁ
ってつくづく思っています!
こんなストーリーを目にしたので
なんとなくそんな思考になった私でした♡
シェアしますね^_^
後悔しない
素敵な一週間にしましょう
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【パパのカメラ】
「 うちにはお父さんがおらへんねんからね! 」
私がわがままを言うと、
決まって母はこう言った
そう言われてしまうと、
もう何も言えなくなってしまう
小学一年のときに父が亡くなって以来、
母一人でどれだけ苦労して私を育ててくれたか、
痛いほどわかっているから
無意識にテレビの上に置いてあるカメラに目がいく
父が大切にしていたカメラ
父がいたら、
私はもっと欲しいものを買ってもらえたのかなあ
その日は友達のめぐみちゃんのお誕生日会だった
プレゼントを買うお金がない私は最初、
断ろうと思っていたが、
めぐみちゃんが
「 そんなのいいから、絶対来てね! 」
と言ってくれたので、
行くことにした
ダメもとで、母に
「 プレゼント買うお金ちょうだい 」
と言ってみたんだけど、
案の定また叱られてしまった
結局、私は手ぶらのまま
めぐみちゃんの家に行った
プレゼントを持ってきていないのは私だけで
みんなはゲームをしたり
ケーキを食べたりして楽しんでいたけど、
その間私はすごく
居心地が悪くて、
プレゼントを渡す時間になっても、
私ひとりすみっこで
もじもじしているしかなかった
「 ゆかりちゃんも来てくれてありがとうね 」
めぐみちゃんのママが
声をかけてくれたが、
そういう気づかいが余計に苦しかった
さらに帰りがけ、めぐみちゃんが
「 はい、これゆかりちゃんの分! 」
と言ってお菓子の
詰め合わせをくれたときには、
もう恥ずかしくて死にそうだった
めぐみちゃんの家は、
お誕生日会に来てくれたみんなのために
プレゼントのお返しを
用意してくれていたのだった
私は家に帰ったとたん、わんわん泣いた
ラムネやチョコやら
かっぱえびせんなんかが・・・・
もうこれでもかといっぱい入った
お菓子の詰め合わせを抱きしめたままー
それを見た母は黙っていた
このときだけは
「 うちにはお父さんがおらんねんからね 」
とは言わなかった
それから何日か経って、
私も誕生日を迎えた
朝学校に行く前
「 ゆかり、今日は誕生日やから友達いっぱい連れておいでや~ 」
と母
「 え? うん・・・・ 」
正直言うと、私は乗り気じゃなかった
貧乏臭い誕生日会なんか開いて、
恥をかきたくなかったから
母には
「 みんな忙しかったみたい 」って言おう
その日、授業が午前中に終わると、
私は誰にも声をかけず、
逃げるようにして家に帰った
だから、学校から帰ってきて家のドアを開けたとき、
私は帰る家を間違えたのかと思ったんだ
大きな画用紙に、
カラフルなペンで
「 ☆HAPPYBIRTHDAY ゆかり☆ 」
カラフルな風船、
折り紙の輪っか飾り、
ちりがみのバラ
ハンバーグ、
タコさんウインナー、
カニクリームコロッケ
部屋には飾り付けがしてあって、
食卓にはごちそうが並んでいて
そしてお菓子の詰め合わせ
めぐみちゃんからもらったのと
そっくりなやつ
びっくりしていると、
台所から母が出てきてにっこり笑った
そしてわたしを見るなり
「 あれ、一人? 」と言った
「 ・・・・うん、みんな今日忙しいねんて 」
私はとっさに用意していたウソをついた
「 そっか 」母はもっとにこやかになって
「 それなら、二人で誕生日会しよっか 」
と私の手を引いて椅子に座らせてくれた
ハンバーグ、
タコさんウインナー、
カニクリームコロッケ
私の大好きなごちそうが
ところ狭しと並んでいる
うれしさがこみ上げると同時に、
ふとテレビの上の
カメラがなくなっていることに気付いた
「 あれ? お父さんのカメラは? 」
「 大丈夫よ。次の給料でちゃんと返してもらえるから
これはお父さんとお母さんからの
プレゼントやで 」
母は大事な父の形見を質屋さんに入れて、
そのお金で今日のお誕生日会を
用意してくれたらしい
「 あ、そうそうケーキもあんねんで! 」
うれしさと同時に申し訳なさを感じながら、
ケーキにロウソクを立てる母の様子を眺めていた
するとピンポーンという音
玄関を開けると、「 こんにちは~! 」
めぐみちゃんと、
もう一人仲良しのあゆみちゃんがいた
「 今日ゆかりちゃん誕生日やんね?
このお花あゆみちゃんと二人で用意したの! あげる! 」
「 え? 」
「 ゆかりちゃんすぐ帰っちゃうから
二人でめっちゃ探してんでー! 」
すると奥から母の声がした。
「 めぐみちゃん、あゆみちゃん、
今からお誕生日会やるから入っておいで 」
「 あれ~? 」
あゆみちゃんは、ぱっと目を大きく開いた
「 ゆかりちゃん、
私らが来ること知ってた~ん? 」
その質問には答えられなかった。
涙がぽろぽろこぼれてしまって
「 ゆかりちゃん、誕生日おめでとう! 」
私はもらったお花を強く抱きしめて、
声にならない声で言った
「 めぐみちゃん、ありがとう
あゆみちゃん、ありがとう 」
結局、私はまたわんわん泣いてしまう
「 お父さんお母さん、ありがとう 」
でも全然苦しくない、
胸の中があったかくって
涙にもいろいろあるんだって
このとき初めて知ったんだ
これは後で聞いた話なんだけど、
父のカメラはあまりにも古すぎて、
すでに質草になるほどの価値は
全然なかったらしい
でも、私たち親子のことを昔から知る
質屋のおじさんが、
なにも言わずに気を利かせてくれたのだそうだ
私の忘れられない誕生日
出典元:『 この世で一番大切な日 』十川ゆかり・サンクチュアリ出版